メール法各論(1)--総説、サイズについて


メールについてはつい先日考察したばかりですが、自分で読み返してみてもあまり に抽象的で面白くありませんでした。私自身の関心が薄れてしまわないうちに、メー ルによるコミニュケーションで注意すべき具体的作法について考察してしまうのが 賢明なようです。もっとも、メールを書く際に要求される特別な作法が存在すると するなら、その存在理由は多かれ少なかれメールが「書かれた言葉」であることに よるのであって、その点を読者のみなさんには了解して置いていただきたいと思い ます。「書かれた言葉」についての抽象的な議論については前回のエッセーを参照 してください。前回の文章が総論ならば、今回の文章は各論です。(「ぱんでくて ん」です(^_^;;))。なお、「メール法各論」は長くなることが見込まれるので、 今回以降、数回に分けて分割掲載とさせていただきます。

電子メールは非常に便利で汎用性に富んだものなので、まったく意思疎通とは関 係のないメールのやりとりを観念することは十分可能ですし、現にその種のメー ルのやりとりは日々いろいろな局面で活用されています。汎用性に富んでいると いうことは、コンピュータが自動で生成・送信するメールも、恋人同士の愛のさ さやきが書き付けられたメールも、まったく同じ仕組みで配送されるということ を意味しています。例えばコンピュータが管理者に向けた定時連絡を行なうため にメールを送信する、ということは良くある事例です(賢明かつ多忙な管理者な ら間違いなくこういった手法を用いていることでしょう)。この種のメールを 「愛のささやき」(もちろん「友情に満ちた忠告の言葉」でもいいのですが)と 同列に論じてしまうのは少し無理があるでしょう。

そこで、「実践的メール作法」を取り扱おうとするこの文章では、コミニュケー ション(意思疎通)手段としての電子メール、つまり「人と人とをつなぐ手段」 として「人が人に宛てて送る」電子メールを念頭に置いて話を進めていきたいと 思います。「人が人に宛てて」といっても、単なる事務連絡はこの際除外してお くことにします。メールを用いた効率的な事務連絡にも一定の手法があるのは確 かですが、それはこの「メール作法」とはまた別のところで議論することにしま しょう。

手始めに電子メールというものがどんなメディアなのか、少し振り返っておきま しょう。メディアをどう扱うかという議論の前に、そのメディアの性質について ある程度頭に入れておかないと、的はずれな議論になりがちです。ここでは電子 メールの性質のうち、量的な面について指摘しておきましょう。理由については、 例えば伝書鳩という手段について考えてみて下さい。伝書鳩を使って毎回広辞苑 1冊分ほどもある情報量をいかにうまくやりとりするか、などという理論を構築 しようと試みても、おそらく徒労に終わることでしょう。だいたい飼い主がこん なことを考えているようでは、伝書鳩たちが可哀想です。

伝達すべき最小容量についてはまったく制限はないものと思っていいと思います。 付け加えておくと、電子メールは「そこそこ大がかりな」メディアだと指摘する ことは可能です。興味がある人は受け取ったメールのヘッダーを見てみて下さい。 ヘッダーというのはメールの配送にあたって用いられる情報ですが、これだけで も英数字数千字分の情報量があります。ポストペットの場合ならペット情報も自 動で添付ファイルとして送られるので、この情報量も加算されます。このほかさ らにエンベロープ情報というものも同時に伝達されているので、実際にはメール 1通届けるのにもかなりの量の情報のやりとりが必要だということになります。 あまりに内容量の少ないメールを送るということは、中身よりもこれら配送の際 に用いられる情報の方が多くなるということです。これは、誰かに封書で何か書 き送る場合に置き換えれば、中身の文字数より封筒に書く宛先の文字数の方が多 い、ということになります。こう聞くと「一言二言をメールで送るのはもったい ない」と思われるかもしれません。しかし気にする必要はありません。手書きで 宛先を書くのと違って、配送情報はコンピュータたちが勝手に書き加えるもので すし、「ネット資源の無駄遣い」といったところで、実際にはもっと壮大な無駄 遣いを毎日罪の意識もなくやってのけている人たちがいるので、これも懸念には 及ばないのです。

短いメールといえども確固とした友情の証となってくれる、ということはよくあ ります。事前に十分話が付いていれば、たとえSubjectが「例のアドレス」、本 文が「http://〜」一行のみ、というメールでさえ、受け取った人には「彼は確 かに約束を忘れず実行してくれた」という安心感と、相手の友情への信頼感をも たらしてくれるものなのです。

最大容量については、「常識を越えない範囲で」というのが最適な目安になるで しょう。メールのサイズには二通り考えられます。

一つはコンピュータが扱う情報量としてのサイズです。これには受領メールサー バの容量制限などをのぞいて、技術的な面からの制限はありません。しかし送ら れるメールのサイズが大きくなれば、それだけそのメールを受信するのに必要な 時間も増えます。たとえ善意でも、巨大なメールを送りつけるのはそれだけで十 分な嫌がらせです。相手のメールソフト(MUA)によっては一つのメールを受信 し終わらない限り次のメールを受信できないこともあるので、あなたが巨大なメー ルを送りつけると、受信が終わるまでの相当な時間、相手のコンピュータの動作 も通信回線もあなたのメールを処理するのにかかりっきり、ということになりま す。これでは次回以降あなたのメールは(もちろん「あなた自身」も!)嫌われ て当然です。この意味でのサイズはほとんど添付ファイルのサイズに左右される ので、画像などのファイルを添付するときには十分気を付けてください。何を送 るにせよ、ある程度の大きさのものは何らかの圧縮を施しておくべきでしょう。 圧縮が施されてると言っても、動画をなんの前触れもなく送りつけるなどはもっ てのほかです。さすがの私も「一人で歩けるようになった孫の姿を動画の形でお じいちゃんのもとに送る」ことまで止めはしませんが。目安としては添付ファイ ルも含めたメールのサイズはせいぜい1Mバイト程度にしておくのがいいようです。

もう一つは文章そのものの量です。ウェブデザインとも共通する問題なのですが、 液晶にせよCRTにせよ、コンピュータの画面上で長い文章を読み続けるのは骨が 折れる作業なので、あまりに長い文章をだらだらと送りつけるのは遠慮した方が いいでしょう。相手が何度かに分けて読んでくれることを前提とした文章ならば それでもいいとは思いますが。文章の量について一般的な目安を立てるのは困難 ですので、場合に応じて検討するようにしてください。人生、時には持てる言葉 の全てを尽くして自分の意志を確実に相手に伝えなければならない局面というも のがあります(メールで伝えようとするのが最善かどうかは考慮の余地がありま すが)。相手との関係が断絶するか否か、という瀬戸際の時に「相手が読んでて 疲れないかなぁ」などと思案している暇はないでしょう。肝心のメールを書きな がらぼんやりとそんなことを考えているようではもうその関係は終わっています。 ともかく、必死になって自らの意志をメールで伝えようとしている人に形式的な 面から私が助言できることは何もありません。頑張ってください。

To be continued...


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Last modified: Fri Jul 28 02:23:11 JST 2000